今回はAshawayのFireシリーズの後、2018年に発売されたTXシリーズ(恐らくtexturedという意味)をレビューしてみます。
Ashaway自体は1824年創業の歴史あるアメリカの企業で、1949年頃からラケット系のストリングを作っているらしい。医療系や工業系の繊維も開発している繊維系に特化した企業との事。日本ではキモニーが代理をしていた?ようで、Zymax 66 Fireと62 Fireの2モデルが販売されていた様子。当時としては高強度な0.62mmの細ガットは革新的だったんじゃないかと。
繊維系の専門業者だけあって、ストリング素材もパテントを取っており、自社開発の素材を使用。ここら辺もリーニンやビクターみたいなOEM系ストリングにはない大きな特徴。
目立つキャプションは見当たらないけど、パッケージにはこんな一文。
TEXTURED COATING = テクスチャーコーティング
MAINTAIN TENSION = テンション維持
テンション維持はFireシリーズと変わらず、今作の特徴はテクスチャーコーティング。実際に触ってみると表面のザラツキ感が凄い。マットなコーティングでキズナのZ66ラスティに似ている。説明文によればこのコーティングのおかげでより優れたタッチ感とコントロール性が増しているとの事。
アメリカらしくかなりタフなストリング。推奨テンションは40ポンドまで(68 TX)と記載。キモニーの説明にも「ザイマックスシリーズは高強度素材のため、強く張るときはフレームの強度をご考慮ください。」なんて注意書きからも物理的な強度の高さを伺える。
TXシリーズの線径は0.64mmと0.68mmの2種類。カラーはホワイト、イエロー、オレンジの3色。
実打レビュー
ストリングの使用テンションは主に縦が26-28ポンドで、横のテンションはストリングパターンやラケットによって微妙に変化しています。基本はプレストレッチは無しですが、場合によっては最大で10%かけて使っている場合があります。
ストリング自体を触った時は64TXより若干しなやかで、やや柔らかめの打球感かなと思ったけど、実際に張り上げて打った感じはハードヒッター向けの厚みのある打球感。BG80を意識している感じで、前作の66 FireやZ66ラスティより打ちごたえ感は強い。硬さはM-S 68Sに近く、反発性はBG80や68Sより高い。
スマッシュは特に秀逸。シャトルが滑らず、掴みながらも反発性がプラスアルファで速度の向上を助けてるみたいな感じ。硬さと反発性のバランスが絶妙。バチュイーンといった感じで速度が出る。
BG80よりも反発性があるので、ドライブは指だけでも加減の調整がしやすい。
硬すぎないおかげかカット系もコントロールが付けやすく違和感なくしっくり打てた。特にフォアからのカットスマッシュはいい感じで角度がつきやすい。
ネット前なんかの柔らかいタッチは若干慣れが必要かもしれない。衝撃吸収性能が高いのか、若干ダイレクト感に欠けるフィーリング。
管理人の一言
想像以上に素晴らしい仕上がりでビックリ。なんでこんなにマイナーなのか少し不思議。公式サイトやパッケージを見る限りではマーケティングの能力が低そうなのは確か。企業の歴史や開発力もあるから、もっとブランディングやマーケティングに力を入れればシェアを伸ばせるポテンシャルがあるのになーと。逆に言えば古き良きアメリカの企業感が漂ってる。
前作のFireシリーズや今作のTXシリーズはラインナップが少ないながらも市場の主流ストリングを研究して作ってるようで、微妙にかゆいところをついてきている。特にこのTXシリーズは、ザラザラした表面加工や他社の同系統のストリングとは微妙に違った打球感にオリジナリティを感じる。エアロバイトみたいなハイブリットストリングもリリースしてるので試してみたい。中国では売ってないけど。
個人的にはパワースマッシャーに使って欲しいストリング。例えば、BG80より反発性が欲しいとか、他の68系より滑りにくいガットが欲しいみたいな人にお勧め。
中国だと8000-9000円で200Mロールが買えるからコスパはそこそこ高い。ザラッとしてて滑らないから張りにくいのはZ66ラスティと共通。それと、テンションロスや耐久性に関してはデータを取ってないので気が向いたら更新してみます。
ストリングのマトリックス図(2023/06/06 更新)
色んなストリングと比べながら随時更新しています。異論は常に認めますのでコメントまで。
使用者の多いアルティマックスや66 Fireもマトリックス表に加えてくれないとイメージしにくいです。
それと、縦軸の幅がやけに狭く怪しいですね。
やはりアルティマは入れた方が分かりやすいですね。あまり好きなストリングではないので、長らく使っていませんでした。正円にするか楕円にするか悩んだのですが、反発性と球持ちの振り幅が大きく感じなかったので楕円にしました。マトリックスで表示しきれない情報もあるので検討してみますね。これからも是非ご意見をよろしくお願いします。