【ヨネックス】アークセイバー11プロ & Tour 実打レビュー

デュオラシリーズに取って代わったアークセイバーシリーズ。その中でも最長寿の一本がプロとしてリニューアル。色んな見方が出来るけど、名を残したシリーズが現在のテクノロジーでブラッシュアップされたのはファンとしては嬉しい限り。発売後一ヶ月くらいほぼ毎日使ってきたアークセイバー11の「プロ」バージョンと、台湾製の「Tour」バージョンをレビューします。

公式スペック&テクノロジー

今回のアークセイバー11は2Uが消えて、4Uと3Uの二規格。時代に合わせて推奨テンションも4ポンドほど向上。ちなみにツアーのスペックはプロとほぼ同じ。スペック上唯一違う点はシャフト。Tourはレクシスシャフト。プロは「ウルトラPEファイバー」が追加されている模様。

独特の「球持ち感」が特徴のアークセイバー11。プロになってより現代風に球持ち感が強調されている。その為のテクノロジーが2つ。

1. ENHANCED ARCSABER FRAME

アストロクス88Sプロや99プロの68ホールのラケット面+グロメットホールで球持ち感を向上させている仕様とは異なり、フレーム形状で弾き感+球持ちといった矛盾した打球感を実現させている

2. POCKETING BOOSTER

名前が面白い。具体的な仕様は不明だけど、フレーム上部の充填素材にエラストマー系素材を使用しているという事なのかな。

実測スペック

最近使ってるスーパーストロンググリップ (AC133)にYonexアンダーラップを2周巻いてます。ガットはナノジー98を28ポンドで。11プロは合計0.8gのバランスウェイトをヘッド周りに貼ってます。Tourのフレームサイズはプロとほぼ変わらなかったので省いています。

プロ 3U5

重量(3U5) 94.2グラム
バランスポイント 約304MM
シャフト経 7.1MM前後
フレーム厚 (12時) 横9.7MM, 正面6.5MM
フレーム厚(3時) 横10.1MM, 正面6.7MM
グリップ長 205MM

Tour 3U5

重量(3U5) 92.1グラム
バランスポイント 約313MM
シャフト経 7.0MM前後

バランス

3Uは所謂イーブンバランス。4Uはイーブンを超えてヘッドライト。ヨネックスの上級モデルで3Uイーブンというスペックは長らく見なかった。取り回しとシャトルの威力を兼ね備えた丁度いいバランス。因みに自分のTourはヘッドがやや重め。

シャフト

スーパースリムシャフト。7ミリかな。前作よりは細いけど、個人的に好きな細さ。前作よりシャフトは硬めみたいな話を聞くけど、ほぼ同じくらいだと思う。旧11の方がソリッド感が強く、11プロはカーボンの弾性が向上している感じ。Tourはプロよりほんの僅かにもったりしている。

フレーム&ラケット面

11プロの特徴はフレーム形状。フレーム横のスイートスポット周辺はふくらんでて、上下に溝が入っている構造。球持ちが向上する仕組みらしい。それとフレームトップの恐らく内部?にエラストマー系素材を使って球持ちを向上させてるとのこと。弾くけどググッと入る感覚はこのポケットブースター?という構造の恩恵が大きそう。フレームトップには陥没防止にありがたい連結グロメット。

塗装

前作がライトカラーだとすれば今作はダークカラー。ウルトラマンみたい。賛否両論が凄いけど、個人的には嫌いじゃない。デザインパターンもアークセイバーのコンセプトを引き継いでいる。シャフトのアークセイバーのロゴは上下で鏡張りみたいになってたりシンプルだけどオシャレ感がある。

Tourとはダークグレーの塗装が微妙に違う。双方共にマットカラーだけど、プロの方が微妙にラメが入ってて高級な感じ。

実打レビュー

発売後1ヶ月以上ほぼ毎日使ってきました。シリーズのコンセプトとしてはブレてないと思うけど、実際に使ってみると旧アークセイバー11とは別物といった印象。

現代のバドミントン愛好家を失望させないヨネックスの本気を感じる。僕的には「新世代のイーブンバランス」と言えるかな。

パワー&トルク

バランスから言うと前作よりややイーブン寄りの印象。シャフトは硬くなったという人もいるけど、実際の打球感は前作ほどソリッドではない。フレームの弾き感と球をホールドする独特の感覚、もったり感が消えたシャッキリしたシャフトが相まって、スマッシュスピードは確実に向上している。ヘッドの重さが薄いので異論がある人もいると思うけど、打ち比べると明らかだと思う。

このポンっとしたシャトルのホールド感は面白い。上からの強打時に角度や方向を変えやすい。ナノフレア800を彷彿とさせる弾き感だけど、このホールド感は11プロ特有。

ドライブの打球感を重視している自分としてはフォルティウスツアーのドライブが好み。だけどこの11プロはツアーを超えてきた。ナノレイ800やナノフレア800なんかに似たヨネックス特有の澄んだ弾き感。だけどこの弾きの中にシャトルをホールドする感覚がプラスされている。

フォルティウスツアーのドライブが「グッと」入ると表現するならば、11プロは「ググッと」入ると表現出来るかな。ドライブが気持ち良い。中国レビューだとこのポムっと入るようなドライブが欠点みたいな人もいるから、好みは人によって違うんだなーとあらためて思う。

コントロール

クリアー。弾きがいいし、シャフトも硬すぎないから苦もなく飛ばせる。ただ安定感という意味においては前作の方が上かもしれない。

カットやドロップはいい感じ。イーブン寄りなので慣れてない人は打ちにくいかもしれないけど、ナノレイもしくはナノフレアシリーズを使ってた人は違和感なく使えるかと。自分はフレーム先端まで感じられる繊細なタッチが好み。

レシーブ。前作より確実にレシーブはしやすくなってる。弾きが良くなってる恩恵の一つかな。それとバランスがイーブンよりなのでハンドリングの良さも関係しているかと。

ハンドリング

スペックから観てわかるように前作よりハンドリング性能は向上していて、どちらかというとダブルス向けの味付け。タッチは前作より格段に速くなっている。特に4Uはほぼイーブン、個体によってはヘッドライト気味なのでヨネックスの中でもトップクラスに速いラケットの一つなんじゃないかな。

管理人の一言

発売前のレビューを色々観ていた限りではそこまで期待してなかったけど、実際に手に取ってみて想像以上の仕上がりにびっくり。

ヨネックス特有の澄んだ弾き感に、11プロ特有のホールド感。そしてこの微妙なイーブンバランス。この球持ちの感覚は88Sプロや99プロにあるダルく恣意的な感じではなくもっと澄んで弾く感じで打ってて気持ちいい。それと打球音が高めで気持ちが上がる。

旧11とは別物なので比べてもあんまり意味がないかもしれないけど、旧11の方が良かったなと思えた点は安定感。ソリッドでフレームもプロみたいに弾かないから力を加えた分だけ素直にシャトルを飛ばせるイメージ。

4Uは自分にとっては軽すぎた。スマッシュも伸びないし、クリアも微妙に飛ばしにくい。ディフェンスメインで使うには悪くなさそうだけど敢えて11プロを使う必要はあんまり見当たらないかも。

アークセイバー11は所謂スーパーベストセラーで、周りでも使ってる人が多い名作ラケット。それをモデファイルするとなるとヨネックスも色々考えた事でしょう。前作に引きずられすぎず、コンセプトだけハッキリさせながら、現代のニーズに合わせて新鮮なラケットを作ったヨネックスには流石の一言。

逆に言えば所詮はカーボンラケットなので、上手く調理したに過ぎないとも言える。そんなに繊細じゃない人にはただのイーブンバランスのラケットの一つに感じるかも。調理法を変えるだけじゃゲームチェンジャーには成るのは難しい。

「Tour」との違いは?

Tourは基本的にはプロとほぼ同じスペック。シャフトの素材は違うけど、硬さはほとんど変わらないし、打球感もうり二つ。自分の個体はTourの方がややヘッドよりのスイングウェイト。決定的な違いは打球時の透明感。打った時のパチーンと弾く感じがTourの方が鈍くダルい感じ。

誰にお勧め?

今作はどちらかというとダブルス向けのイメージ。特に4Uはヘッドライト寄りなので前衛なんかもそつなくこなせるイメージ。4Uの場合ナノフレア700, 800や800LTなんかとの棲み分けは少し難しい。確かに微妙な違いはあるけど、個人的には迷ったら見た目で選ぶのがベストかと。

3Uはオールマイティ。3Uイーブンで弾く硬すぎないスペックはヨネックスのラインナップで唯一かと。ナノフレア800の3Uはもっとヘッドヘビー寄りで打球感はやや硬め。イーブンで取り回しも悪くないし、4Uよりは質量があるからスマッシュも苦にならない。個人的には凄くいい塩梅でダブルス、ミックス共に主力で使ってます。3Uのイーブンバランスは4Uのヘッドヘビーとはまた違った良さがある。旧11の3Uを使ってた人は4Uではなく3Uがオススメ。

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