バドミントン選手特化インソールの作り方 by 北田望さん

こんな記事を書く経緯はインソールについて呟いていた事がきっかけで北田さんが快く貴重な情報をシェアしてくれたのが始まり。

僕自身フットワークの重要性が50-70%近くを占めるバドミントンでとりわけインソールは非常に重要だと考えてます。そんなこんなでシダス、スーパーフィート、バネソール、BMZ、ザムスト等そこそこの数のインソールを試してきました。

色々インソールを使って来た中で幾つか疑問が持ち上がってきてカスタムオーダーについて考えていた中、北田さんが連絡をくれたおかげで疑問の答えが見い出せました。

今回北田さんが寛大にも情報公開してもオッケーという事なので「バドミントン選手特化インソールの作り方」を公開します。

そうそう、情報を提供してくださった北田望さんはバドミントンやテニスに造詣が深く、某強豪高校のバドミントンチームのサポートや、バドミントンクラブ、現在は中国にまで足を運んで活動しているスペシャリストです。

注意

理学療法士の資格を持つ専門のトレーナーによる情報ですが、効果は人によって異なります。足に痛みなどの問題が生じたら直ぐに使用を停止して下さい。

インソールについて

パフォーマンスへの影響

主に3つの影響があると北田さんは申しております。

  1. 穴が空いた状態でインソールを使用するとスポーツ障害の誘発率が上がる
  2. 足底から受ける影響は、足指の変形、筋肉の質の変化および可動域を狭めて、プレーの安定性に影響が出る
  3. 足底〜足指の感覚がプレーの良し悪しを決める

力の発達点の足裏は重要。片山さんやジョー・ティエンチェンなんかも足裏のケアに凄く気を使っている。

インソールに求める6つの要素は次のとおり。

  • プレーの質=ショットの威力
  • フットワーク=俊敏性
  • バランス=着地動作
  • 体力=疲労や持久力
  • 集中力=不快なくプレーを行う
  • コンディショニング=痛みや身体エラーを減らす

既製品のインソールについて

北田さんが様々なプレーヤーをサポートしてきたデータに基づいて規制のインソールについてこういうコメントを述べています。

自分の足型ではないので多少のスリッピングが起きる。また「半強制(矯正)」した状態のため、二次障害(腰痛・疲労)などのスポーツ障害の発生率が非常に高まる傾向にある。

足型を測定するオーダーメイドインソールは?

静的姿勢(荷重をかけて立つ or 座った状態)での測定のためスポーツ動作に不適合な部分が非常に多い。但し、立ち仕事や活動量が少ない人には適合する場合がある。

オーダーメイドでも、厚みを変えずに作成しているメーカーは「選手の動き・プレーの評価」まで行っていない。

結論として、既製品・オーダーメイドインソールどちらも選手の動きを殺す製品が多いとのこと。

北田さんが作成しているインソールは?

選⼿のリクエストの聴取、動作分析をしてから作成。主に下記の項目を考慮に入れているそうです。

  • 縦の動き(ネット前の動作)
  • 横の動き(レシーブ・ディフェンス)
  • 着地からの動き出し(スマッシュ着地後の動作)
  • シングルス対応なのか ダブルス対応なのか
  • 痛みや疲労軽減⽬的なのか
  • プレースタイルに合わせて随時インソールの変更対応している (耐久性が既製品よりも劣るので2週間〜1ヶ⽉に1度調整する)

足裏の確認

まずはインソールを作るにあたって足裏の構造および、状態評価・確認を行う必要があるとの事。

インソール作成時に覚えておきたい足裏の構造

足のアーチは3点で支えたテント状。

北田望 インソール1

この3つのアーチは衝撃吸収、蹴りだしの時の推進力を生む源となっています。僕は解剖学は専門として学校で学んだ事があるけど、医学的な見地からは全くの素人。こんな記事は参考になるかもしれない。

足のアーチ 運動学、機能解剖、整形外科、靴の視点から

足裏の評価

足の構造を理解した後は、自分の足を知る必要があります。下記のチェックリストから傾向を特定してみましょう。

  • ハイアーチ(⼟踏まずが⾼い)
  • 浮⾜指(⽴った姿勢でつま先が浮いている)
  • 扁平⾜(⼟踏まずがない状態)
  • たこ(⽪膚が硬い)
  • マメ(摩擦が強くて擦れて⽪膚が厚くなる)
  • 外反⺟趾(第2指に親指が重なる)
  • 内反⼩趾(第4指に⼩指が重なる)

バドミントン選手に多い足の形

北田さんはバドミントン選手に多い足の形には3つのタイプがあると言っています。

  1. 浮⾜指型
  2. ハイアーチ
  3. 混合型

自分がどれに当てはまるかチェックしてみましょう。

浮⾜指型

  • しゃがみ込みで踵が浮く
  • シンスプリントになったことがある
  • オスグットになったことがある
  • 前脛⾻筋(すねの前側の筋⾁)が硬い
  • 常に腰痛がある
  • 反り腰もしくは猫背姿勢
  • 背中で⼿を組み合わせることができない
  • ⼤腿四頭筋(前側の筋⾁)が常に硬い
  • パン⾷が多い

ハイアーチ型について

  • しゃがみ込みで踵が浮く
  • シンスプリントになったことがある
  • オスグットになったことがある
  • ふくらはぎが異常に硬い
  • ⼤腿四頭筋(前側の筋⾁)が常に硬い
  • 腹筋(上体起こし)のトレーニング多め
  • ⾁⾷が多い
  • 仲間と話す時に緊張している

混合型について

  • しゃがみ込みで踵が浮く
  • 中殿筋(お尻の横)が硬い
  • ハムストリングスが硬い
  • ⼤腿四頭筋が硬い
  • 内転筋の筋⼒が低い
  • ⽴ち姿から上半⾝の伸展 (上体反らし)が⾏きにくい

⾜の機能バランス評価

自分の足がきちんと機能しているか確認する項目も用意して頂きました。

  • 両⾜裏を合わせて⾜指を組み重ねることができる
  • 両⾜の踵〜⺟指球をつけた状態で踵上げができる
  • 両⾜の踵〜⺟指球をつけた状態で静⽌できる
  • ⾜指・⾜裏全体が床に着いた状態で⽚⾜⽴ちが安定静⽌で5秒以上できる
  • ⽚⾜⽴ち姿勢を作った状態で床タッチを両⼿でスムーズに安定して10回⾏える

インソールを作ってみよう

先ずはメーカー別の特徴とテープの種類から。

メーカー別によるシューズの違い

メーカーによって靴型が異なります。日本だとヨネックスかミズノの使用者多く、北田さんはそれぞれの特徴をこんな風に説明しています。

ヨネックス

  • 基本的にインソールは厚い
  • 土踏まずのアーチが高い
  • インソール&シューズが全体的に重め(モデルによります)
  • 靴の中で足がスリップしやすい印象

ミズノ

  • 基本的にインソールは薄い
  • シューズは狭め
  • ランニングシューズに近い感覚
  • ヨネックスより軽い印象

テープの種類

  • キネシオテーピング 50mm
  • エラスティックテープ
  • ホワイトテーピング

北田望 インソール4

貼るポイント

基礎として3ヶ所にテープを貼ってみましょう。

  1. 土踏まず(内側縦アーチ)
  2. 横アーチ(拇指球〜小指球)

北田望 インソール2
応用編としてここにもテープを貼る事が出来ます。

  • 踵 (三⾓形を2箇所)
  • ⼟踏まず(丸部分)
  • 横アーチ(⺟指球)
  • 横アーチ(⼩指球)

北田望 インソール3

作る際のポイント

先ず覚えて欲しい基本は「凹んでいる箇所や中敷きが薄くなっている箇所にテーピング」

①踵部分〜⾜指にかけて

⾃分の指(⼈差し指・中指・環指) 3指でなぞり、凹みや膨らみを確認
※右⾜の場合は、右⼿でなぞる。

北田望 インソール 作成1

②⾜の形で擦れている部分にテーピングを挿⼊

凹んでいる箇所や中敷きが薄くなっている箇所へのテーピングが基本。

北田望 インソール 作成2

踵を厚くする方法としてキネシオテープ1枚 ホワイトテーピング1枚 これを交互に2〜3回⾏う。(⽩い部分に添って貼るのを⽬安に⾏う)。凹みがある薄い部分に挿⼊。

北田望 インソール 作成3

擦れている部分・薄くなっている部分へのアプローチはキネシオテーピングを挿⼊・補強1枚〜2枚。状態によって「シングル貼り」「重ね貼り」。北田望 インソール 作成4

③⼟踏まず部分のアーチに対する挿⼊⽅法

【ヨネックス】盛り上がっている。 盛り上がり部分から少し前の所に補強。
【ミズノ】平たい構造。 ⼟踏まず部分に直接補強を⾏う。

北田望 インソール 作成5

参考事例

北田さんの作成例

北田望 インソール 事例5

北田望 インソール 事例6

北田望 インソール 事例7

選手の特徴別

北田望 インソール 事例1

北田望 インソール 事例2

北田望 インソール 事例3

北田望 インソール 事例4

北田さんへのQ&A

Q1. テープの使い分けの方法はどのように?薄さ別、もしくは伸縮性別?

セルフで作成するインソール(カスタムインソール)は、最初のインソールをなぞる段階でテープの使い分けをします。

なぞって薄い部分・凹みがある部分に、基本ベースは「キネシオテープ」で対応です。私個人的には、キネシオテープメーカーによって伸縮性・耐久性・耐水性なども異なるという印象です。

こだわって作成するよりも、選手のフィット感を大事に作成しています。

またホワイトテープの使用選別は難しいところがあります。

キネシオテープの3枚貼りも稀にしていることもあります。(なぞって薄く感じる部分にアプローチします)

Q2. 自分で作るインソールですが、どのようにベストな状態を見分けることができますか?

インソール作成後の感触としていくつかあります。

○立っている感触

「踏んでいる感覚」「無駄な力が抜けてシンプルに立っていられる」という感覚

○ランジ動作の感触

「踵のクッションを感じる」「グリップ性が感じられる」

○その他の感触として

「違和感なく立つ・しゃがむ・ランジ・飛ぶ」などが行える、そして即時的にプレーをしてみて動きやすさを体感してもらっての反応が一番になります。

嫌な感じは、靴・インソールから突き上げてくる感じがする場合はNGになります。その場合は、テーピングを多用していることがあるので、シンプルに作成することをオススメします。

Q3. アーチに投入する時に考慮に入れる要素はなんでしょうか?

関節部分(骨と骨の隙間)に、挿入すると骨が浮き上がってきて痛みを誘発する場合があります。

初回の場合は、関節部分(骨と骨の隙間)を外して、足指で例えるならば、母指球の関節の隙間の前側を狙って挿入すると良いです。

2回目以降に改めてインソールを作り直す場合は、関節部分にダイレクトに挿入するのか・初回と同じように関節部分を外して挿入するのかは話し合いながら作成していくと良いです。

足指の横アーチ、小指側の外側縦アーチは骨・関節から少し離して対応した方が良い感触です。

※小指側のアーチは、外側重心を避けたいのでテーピング挿入は、やや気持ち外側に付けて内側に骨配列や筋肉を整えてあげることが先決になります。

Q4. 個人で北田さんにソール作成依頼は可能か?どのような方法で?

私へのインソール作成依頼は可能です。

即日作成し最短で、15分で作成。特殊な足構造・リクエストがある場合は30分で作成になります。

遠方になると、往復での発着もあるためその日数だけ分お時間がかかります。

即日対応ご希望でしたら、今使用しているインソール画像を写真で送って頂き、状態に合わせてこちらでカスタム・デモインソールを作成します。

デモ版を作成したのをクライエント様に写真でお伝えして、同じように挿入作成して頂きます。

ご不明な際は、動画でクライエント様のインソール作成の工程をサポート致します。

管理人の一言

はっきり言ってここまでの情報を公開して頂けるなんて思ってもいませんでした。改めて北田さんの寛大さには感謝しかありません。

もちろん選手に合ったインソール作成は経験や知識がモノを言うので北田さんレベルのインソール作成は難しいかもしれない。だけど、アマチュアレベルであれば北田さんがシェアしてくれた情報を試行錯誤すればそこそこ使えるインソールが作れちゃうんじゃないかと思ってます。自分も現在試行錯誤中。

一度北田さんに分析してもらってインソールを作って貰えば、ある程度今の自分の状態も解るし、張り方も学べて一石二鳥かもしれない。

北田さんへの連絡方法は、TwitterInstagramFacebookから直接連絡OKとのこと。
インソールカスタムは、配送直接会いに行く、オンライン(Zoom等)と言った方法が取れるので世界中どこからでも注文可能なのも嬉しい限り。

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