ラケットのデータベースを公開中(2024/06/23 更新)

【ウィルソン / Wilson】FIERCE CX9000 CV 実打レビュー

フィアース=松友美佐紀さんと言っても過言でないウィルソンの看板モデル。ずっと気になってたけど外観からして女子力が高めのラケットだったので手を出せずにいました。

ピーターゲードを彷彿とさせるオールホワイトのFIERCEフラッグシップモデルをカタログで見つけたので購入してみました。

公式スペック・テクノロジー

毎年のように微調整を繰り返している松友モデルとはほんのり味付けが異なるスペック。公式サイトでは、「松友モデルのCX9000Jより2gウェイトを上げて攻撃力をプラス」と書かれていました。

FIERCE CX9000CV スペック1スペックを見る限りだと、バランスは315mmとかなりのヘッドヘビーで、最近中国でも人気のあるリーニンのAN7000Iにせまるヘッドの重み。

少し残念なのが最大テンションが26ポンドまでという点。あと少し頑張って欲しかった。28ポンドくらいでも張れそうだけど。

ウィルソンは他のメーカーには無い独自のテクノロジーを搭載していて男性心がくすぐられます。スパイダーシルクだったり、カーボングリップやパワーロッドなんかが有名だけど今回から搭載された新しいテクノロジー1つに注目してみます。

カウンターベイル

FIERCE CX9000CV テクノロジー

【掌となるラケットを目指して。】掌部分にカウンターヴェイルを搭載することで人体が生む僅かな微振動を鎮め、シャトルを捉えるラケット全体の無駄な振動を抑制。ラケットヘッドまで絶対的な正確性能を拡張することで、シャトルコックへ伝達することを可能にする。

この「カウンターベイル」はNASA公認のカーボン素材で、衝撃を30%減らせるという特徴があるらしい。ヨネックスが使っているバイブスレイヤーカーボン?のような特性があるのかな。そんなカーボンを一体成型グリップに使用している。

個人的にはカーボン云々より、元グリップを剥がさなくていい快適さと、グリップキャップからハンドルへ滑らかに繋がってるデザインが好き。これが標準になるといいのにな。

“EX-ZONE”という新しく設計したシャフト内部構造について調べてみたけど、詳しい情報が見つかりませんでした。「腕の肘のように稼動必要域を確保し、しなりに変化を与え、しなやかさと安定性を叶える。」って書いてある事からキックポイントに少し変更を加えた感じでしょうか。

実測スペック

日本から取り寄せた私物を計測してみました。ウェットグリップ (ウィルソン)+ナノジー98という組み合わせ。

松友さんをリスペクトしてアンダーラップは巻いてません。

重量(4U5) 81.4グラム
バランスポイント 約326mm
シャフト経 7.2〜7.4mm前後
フレーム厚 (12時) 10.3mm
フレーム厚(3時) 10.1mm

重量

FIERCE CX9000CV スペック22グラム重いというだけあって4Uに近い5Uと言った印象。個体差があるからあくまで自分が所有しているモデルという事で。

シャフト

FIERCE CX9000CV 3塗装分を抜くとおそらく7mm程度のシャフトを採用。ジョイント部へ向かってテーパーがかかっている。わりとソリッド感があるしゃきっとしたシャフト。

フレーム&ラケット面

FIERCE CX9000CV 1FIERCE CX9000CV 2FIERCE CX9000CV 6フレーム面はトップが少しフラットで、ビクターのスラスターFCなんかに似ている。フレームトップのスイートスポットが広めになっている感じ。

フレーム形状はグルリと一周全てがエアロ形状。ジョイント部までエッジが効いててこだわりを感じる。

塗装

FIERCE CX9000CV 4ホワイトとゴールドの2色を基調。ホワイトは艶ありとパールホワイトの2トーンデザイン。グロメットもブラックと透明の2色を切り返しで使っている。エンドキャップの赤い差し色がかっこいい。

ウィルソンの塗装はかなりセンスがいい。トレンドをおさえているのはもちろんだけど、色を抑えて落ち着いた配色が多いから長く使ってても飽きがこない。

実打レビュー

ガットは安定のナノジー98を26ポンドで。

約1ヶ月くらい使ってみた感想としては、「狙った所にシャトルが飛んでいくラケット」

パワー&トルク

あまり主流でない5Uのスーパーヘッドヘビーという事もあって、普段3Uイーブンを使っている自分としては慣れるまで少し時間がかかった。

シャフトはAN7000Iほど柔らかくなくソリッド感が強い。男性でも打ち応えがそこそこあるからフルスイングで打ち込んでもそんなにシャフト負けせずに打てる感じ。

ドライブ。少し不思議な感覚。弾きはナノフレアやナノレイ、フォルティウス、オーラースピードなんかと比べるとそこまで良くないんだけど、フレームがブレる感じがほとんどしない。自分の力で押した分だけ飛んでいく感じ。 逆に言えば、ショートモーションで指を使って打つようなショットでは少し飛ばしにくいなと感じた。

レシーブ。しなやかなシャフトとヘッドの重みでコントロールは付けやすい。だけど、スマッシュレシーブでバックラインまで飛ばすには多少の慣れが必要かな。

コントロール

クリア。可もなく不可もなくと言った感じ。ヘッドヘビーの割には飛ばしやすいとは感じない。だけど、スイートスポットに当たればそれなりに飛ぶ。女性や中学生プレイヤーなんかは少し飛ばしにくく感じるかもしれない。

カット&ドロップ。慣れればかなり安定して打てる。弾きすぎないフレームで、押した力の分だけシャトルを飛ばせるから弾きすぎる事もなくシャトルが沈むイメージ。

ネット前。ダブルスのクロスやスピンネットなんかもラケットが弾いてあばれる感じが無いので慣れれば精度の高い球を安定して打ちやすい。

振り抜き

良いか悪いかで言えば、振り抜きは悪くない。フレーム形状や5Uという重量も関係していると思うけど。ただやっぱりヘッドヘビーなので、当たり前だけどナノフレア800なんかのトップライト寄りのラケットとは比較にならない。

管理人の一言

正直に言うと特殊なスペックとバランス。使う人を選ぶラケット。

5Uヘッドヘビーで、シャフトはボルトリックFBほどは固くないけど、ヘッドは重め。AN7000Iよりは固めでヘッドはわずかに軽め。しかも弾かないラケットだから指先なんかでコンパクトに打つ癖のある人にはお勧めし難い。コントロールプレイヤー向けではあるんだけど、従来の硬めイーブンと言ったタイプとはまた違う。フレーム自体も弾きがいいとは言えないし。弾く系ラケットを使ってた人が使いこなすには打ち方を少し調整しないといけないなーと

いっちぃーさんの言う通りこのラケットは独特なので慣れるまで時間がかかる。慣れればショットの精度は確実に上がる。ショートサーブもそうだけど、ドライブやカット、ドロップを打ってて思った事として、ラケットが捻じれにくくかつ振動が発生しにくいので、力を入れた分だけ素直に飛んでいくなーと。他のダブルス系ラケットにありがちなラケット自体の弾きの良さで余計に飛び過ぎるっていう問題が起きにくい。

個人的な意見として、女性プレイヤーでまだ自分のスタイルが確立出来てない人には全くもってお勧め出来ない。前衛だとヘッドヘビー感が強いから取り回しは良いとは言えないし、クリアも飛ばしやすいとは言えない。女性シングルスで使うならナノフレア700やアルティウスみたいなラケット本体の力で飛ばせる方が楽だし疲れにくいと思う。

ダブルス向けで考えている女性プレイヤーは松友モデル(FIERCE CX9000J CV)の方がシャフトが柔らかく軽いそうなのでそちらをお勧めします。

どんな人に向いているかと言えば、ゴーリューインやファンヤーチョンなんかを手本としているミックスメインの女性プレイヤーや、ボルトリックFBよりもっとソリッドで打ち応えのあるラケットを探している男性にもおすすめ。最近メンズダブルスでも5Uのスーパーヘッドヘビー使っている選手がちらほら。

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