2018年に発売されたフォルティウスツアーF(FORTIUS TOUR-F)。ツアーと一緒に発売された兄弟モデルで、インドネシアのモハマド・アサン選手が使用していたモデルになります。
ツアーFの「F」は、Fortify=強化されたという意味でしょうか。ツアーとの違いをメインにレビューして行きます。
公式スペック&テクノロジー
基本的にはツアーと同じく、正統派のボックスフレーム、硬めのヘッドヘビーと言った説明。4U, 3U展開で、グリップはG5のみ。ミズノのマトリックスを見ると、最も硬くてヘッドヘビーというポジション。
ガットの推奨テンションもツアーと変わらず27ポンドまで。
テクノロジーに関してもツアーと変わらない。面が強く打った時に嫌なブレが少なく振れる設計。
実測スペック
所有している4U5と3U5を計測してみました。
ウェットグリップ (AC108)+VBS-66(Victor), ナノジー98に、Yonexアンダーラップを2周巻いてます。自分が使用しているラケットは全て元グリップ無しです。
スウィングウェイトはプロショップユゲさんを参考に。3Uはヘッドヘビーです。
重量 | 83.6グラム (4U5) 86グラム (3U5) |
バランスポイント | 約316mm (4U5) 約318mm (3U5) |
シャフト経 | 7.4-7.6mm前後 |
フレーム厚 (12時) | 11.6mm |
フレーム厚(3時) | 11.45mm |
重量
ツアーと同じく3Uで約86グラム(グリップ+ガット込み)。ヨネックスの4Uクラスの重量。ヨネックスなんかと比べるとやっぱり軽め。
シャフトの太さ
ツアーシリーズ共通で現在の主流のシャフト経よりかなり太めのシャフト。例えばタイツーインが使っているTK-FCは6.4mmだから、ツアーFと比べると1mmも違う。このおかげで独特の弾性を確立している。
フレーム&ラケット面
今どき珍しいカクカクしている伝統的なボックスフレーム。外見上でツアーとの大きな違いがこのフレーム厚。ツアーFはフレームの厚みが増している。10クイックとほとんど変わらないくらいの厚みがある。フレームの弾性を確保しながらもヘッドヘビーにする為の設計なのかな。
左からツアー、ツアーF、ツアーV。ラケット面の大きさはツアーと変わらない平均的な56インチ。
塗装
ツアーと配色パターンは変わらず、アクセントカラーはレッド。赤黒のコンビは鉄板。ツアーみたいに黄色が目立たないので、より重厚感のあるカラー。ここまでシンプルな配色のラケットって少ない気がする。
実打レビュー
フォルティウスツアーFはツアーと同時期に購入して、そこそこ使用して来ました。ガットはビクターのVBS-66とリーニンのNo.1、ナノジー98をメインで使ってます。
使用していた時間が1番長いナノジー98の使用感を書いています。ストリングのテンションは27ポンド。
結論を言うと「ツアーやや硬め」。ツアーと同じくかなりの弾性と面の安定性を持ちつつ、ほんのり硬め+ヘッドヘビー寄りへと味付けされています。だけど、正直そこまで大きな違いは無いかなと言った印象。
パワー&トルク
3Uおよび4Uはヘッドヘビー。だけど、Zフォースやアストロクス88Dのようなソリッド感満載の重みは感じない。全体重量が軽いって事も理由の一つだと思う。
スマッシュ。やっぱりボックスフレーム+ヘッドヘビーの組み合わせは打っていて気持ちがいい。高い弾性は顕在だけど、ツアーより全体的に硬くなってるので振り切れるパワーが要求される。
僕自身はアジア人の中では力のある方だけど、姿勢がやや崩れた時にツアーFを振り切るのは結構キツい。ここらへんの敷居は88Dと同じく高め。だけど振り切れた時のスマッシュは爽快そのもの。振動もほぼ無いし、ハードヒッター向けと名乗ってるだけある。
ドライブ。ツアーの良さは残っているから厚みのあるドライブが打てる。硬くなってシャトルがグッと入る感じが若干薄くなってる。その分タッチも僅かにツアーより速く、パワーがよりダイレクトに伝わるようになっている。リストのパワーがあればツアーよりパワーのあるドライブが打てる。
コントロール
クリア。面の安定性と独特の弾力のおかげで飛ばしやすい。ヘッドの重みがあるからツアーより若干軽い力で飛ばせる。
カット&ドロップ。慣れと好みの問題なんだけど、ヘッドが効いていて硬めなのでツアーより打ちやすく感じる。ツアーでも書いたとおり、細めシャフト+薄めフレームのラケットと比べると感度は若干劣るから、人によってはモワッと感があるかもしれない。
レシーブ。プッシュレシーブは硬さと弾力があるので捌きやすい。ツアーみたいに弾きすぎないのでコントロールが付けやすく感じる。やっぱりリストが弱いと厳しいかも。スマッシュレシーブは良くも悪くもない。シャフトの弾力のおかげでそこまで苦労せずに返せる。
ハンドリング
ラケットが軽いってのが大きな要因で、ライバルの一角アストロクス88D、99に比べると持ち重り感が少ない。フレーム自体に厚みはあるんだけど、フレーム正面はそんなに厚くない。むしろ薄い。
ヘッドヘビーにしてはそこまで悪くない振り抜き感。Zフォースなんかのコンパクトフレームには勝てないけど。
管理人の一言
商品説明通り、ツアーより硬めの味付け。この硬さのおかげで敷居が高くなっている事と、ツアーとの差異があまり大きくないって事もあって敢えてツアーFを選ぶ人は多くないかもしれない。
ただ硬さ故にタッチが僅かに速かったり、弾性が抑えられていてソリッド感が若干増してるからツアーが弾きすぎる、もう少し硬めのラケットが欲しいって人には丁度いいバランス。
ダブルスの場合、4Uに限って言えば10クイックよりツアーFの方が人によっては使いやすいかもしれない。10クイックより全体的にツアーFの方がトルキー。ドライブ〜後衛多めの場合はツアーFの方が利点が多い気がする。
慣れてない人が気になるだろう点を上げておくと、硬めのわりには若干モワッとしている打球感。ヨネックスは全体的に芯があってバリッとした感じがあるんだけど、フォルティウスはそれより少し軽い打球感。
3Uはシングルスでも使えると思うけど、アストロクス99や99プロよりダイレクト感に欠けてて、シングルス的な意味でのコントロール性はもう一つと言ったところ。プレイスタイルによってはツアーFの復元力の速さを生かしきれず、ただ硬いだけのラケットって印象を持つかもしれない。
独特な弾性はそのままだから、アストロクス88Dより軽くて、強いドライブが打てるラケットが欲しい、ツアーが柔らかいって思っているダブルスプレイヤーにお勧め。
ミズノ フォルティウスツアーF FORTIUS TOUR-F
フォルティウスツアーFも弾きがいいと言うことだったと思うのですが、Y社のラケットだとどれくらいの弾きがあるのでしょうか?また、アルティマやエアロソニックなどの反発系のガットとの相性はどうでしょうか?
ご返信が遅くなって申し訳ございません。ツアーFもそうですがツアーシリーズの弾きはナノレイやナノフレアのようなフレームがしなるような弾きとは違い、もっとラケット全体で弾くようなイメージです。ガットは好みなので何が良いとは言い難いですが、アルティマでも問題ないと思います。エアロソニックは自分が使うとパワー不足+すぐ切れるのでコスト的に使用していません。自分はナノジー98を使っています。
はじめまして。
コメント失礼致します。
いつも詳細なレビューありがとうございます。
参考にさせて頂いています。
当方ナノレイiスピードを使用しております社会人男子です。
主にダブルスでプレイしてますが、後衛時のスマッシュの軽さに悩んでおり、後衛向けのラケットを増備しようと考えています。
スマッシュの重さ、ノビ、ドライブの弾き、ノビの良いラケットを探しておりますが、オススメのラケットがありましたら、ご紹介願えないでしょうか?
コメントありがとうございます。ここらへんは硬さの好みとレベルによるのでなかなかコメントし難いですが、iスピードを使っておられていきなりZフォースやアストロクス88D, 99などを使うとあまりのギャップで使いにくいと感じるかもしれません。4U辺りでガチガチに硬くないラケットが個人的に使いやすいかなと思います。柔らかい順にボルトリックグランツ, ビクターのスラッシャーオニギリ, リーニンのAN9000D, フォルティウス10クイック辺りでしょうか。オニギリはこっちでも使っている人が多いロングセラーの一つです。
お忙しいところ返信ありがとうございます。
参考にさせて頂きます。